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第九章 真打ち登場
「帆菜姫、ご来店です。」
ウェイターが言った途端、ハルカとアキヒトは入り口を振り向いた。
偶然とは言えツイている。
別人のように着飾った松井帆菜がそこにいた。
誰が見ても分かる高級ブランドのセットアップは
20代のOLの給料で買えるシロモノではない。
ハルカたちとは少し離れた席に案内された帆菜を
二人は観察していた。
「おう、来たんか?」
翔喜がクールな口調で言う。
「ずいぶんご無沙汰してるから忘れてると思ったで。」
そういう翔喜に帆菜がちょっと嬉しそうな顔をした。
「忘れるわけないよぉ、ずっと来たかったけど
夜頑張ってたから来れなくてぇ。」
あの媚びた口調が再び耳に入ってきて
背筋がぞっとした。
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