第十章 動揺

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第十章 動揺

“は?ウソでしょ?” 帆菜は自分の目を疑っていた。 目の前でシャンパングラスが積み上げられていくのを 呆然と見ている。 「なあ、あっちのテーブルの女が入れたん?」 優星に聞く。 「でしょうね、あんな可愛くて若いのにすごい金持ちなんやなあ。」 彼も驚いたように、羨望の眼差しで見ており、 目の色が明らかに変わっていた。 本数が揃わないと言う事で、あまり高くないシャンパンしか 集まらなかったようだが、それでも1本10万はする酒が 15本ほど用意されている。 帆菜はお茶割りを手にしたグラスが、 自分の震えでガタガタと音を立てるのを 他人事のように聞いていた。
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