第十三章 シャンパンコールを君に

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第十三章 シャンパンコールを君に

なるほど確かにシャンパンタワーは大迫力だ。 ハルカさんを横目で見ながらアキヒトは思っていた。 店の中央部分に広いスペースがあり、 そこにグラスが次々と積まれてゆく。 店員達は手馴れているようで、 危なくないようセッティングする様は 圧巻だった。 照明が当たり、ハルカさんが翔喜に呼ばれる。 なんだか二人の結婚式みたいじゃないか。 と思うと、内心穏やかではなかった。 ・・・・・・こんなロマンチックで特別な演出されたら 恋に落ちても不思議ではないかもしれない、と アキヒトはさっきからヒヤヒヤしている。 さすがの財力だなと羨ましく思った。 それにしても。 と、彼は帆菜を見る。 まさかデリヘルにまで手を出して 借金しながら貢いでいる自分を差し置いて、 初回の客がホストのナンバー1に自腹を切らせるなんて。 (しかも帆菜も翔喜も知らないけど、ハルカさんはオトコである。) 一体、どう思っているのだろうか? 生半可なショックではないだろうというのは 簡単に推測できるので、 アキヒトはそちらも気になっていた。 帆菜は蒼白になったあと、気分が悪くなったようで 一旦外へと出て行ったようだった。 少し心配になったアキヒトが、そっとついて行く。 彼女が近所のコンビニに入っていったところまでは見届けた。 “買い物できる元気があれば大丈夫か。” そう思い、彼は店の中へと引き上げることにした。
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