第十四章 シャンパンのお礼

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第十四章 シャンパンのお礼

「綺麗だねー!美味しいー。ありがとう。」 ハルカさんが満面の笑みで、シャンパンの礼を言う。 翔喜は満足そうな表情を浮かべたあとで アキヒトをちらりと馬鹿にしたような顔で見た。 “お前には到底こんな事はできないだろう。” とでも言いたげな視線だ。 馬鹿にされているし、悔しいけれど 確かに出来ないものはできない。 悔しがっても仕方の無い事なので、気にしないことにした。 だが、 「ねえ、ハルカ姫。お礼のチューは?」 と言い出した翔喜に対しては怒りを隠せない。 「おい!」 アキヒトが席を立とうとするのを、ハルカさんが片手で制する。 「えーっ。チューしなきゃだめ?」 はぐらかすような微笑みで彼は翔喜を見た。 「シャンパン美味しかったでしょ?俺にも美味しい思いさせてよ。」 “なんだその理屈は!” 顔が良くなければ、 ただの気持ちの悪い勘違いオトコである。 たかだか100万程度で ハルカさんのキスが買えるなんて思うなよ! と、アキヒトは怒っていた。 “だいたい、それとこれとは話が違うぞ。 気持ち悪いんじゃボケ!!!” イライラが限界に近づく。 さらに翔喜がハルカさんに迫り、 VIP席のソファーに押し倒す勢いで近づくと アキヒトの我慢が限界を超えた。 「おい、ちょっと何してんだよ。」 アキヒトの手が翔喜のジャケットにかかる まさにその寸前の事だった。 「ふざけんじゃないわよ!」 店全体に響く声で、松井帆菜が叫び 翔喜の元に突進してきた。
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