1 どこにも続かない道

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「なにそれ? Facebookなんてやってんの?」  突然かけられた声に驚いて危うくスマホを落としそうになってしまった。 「寺島くん!?」  いつの間に来たのか数歩離れたところに寺島くんが立っていた。  家も近所だから帰り道に鉢合わせても不思議はないけれど、気配がなさすぎる。Facebookをやっているなんて他のクラスメートに見られたら大笑いされるところかもしれない。私があわててスマホを制服のポケットにしまうと、寺島くんはほんのわずかに顔をしかめた。 「別に覗き見したんじゃないから」 「……わかってるよ」  私がそう言ったときにちょうど信号が変わった。寺島くんは私の返しには興味なさそうに、スタスタと歩き出す。私も彼の数歩後ろをゆっくりと歩く。  彼が私の方を見ていないのを確認してからもう一度スマホを取り出して、お姉ちゃんのFacebookページを開く。前にお姉ちゃんがポストした写真にさっきとった空の写真をアップする。少し悩んでコメントも追記する。「そっちの空はどんな感じ?」
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