2 太陽を追いかけて

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2 太陽を追いかけて

 お姉ちゃんは我が家の太陽だ。  眩しすぎて私なんて直視できないくらいの存在。小さな頃からお姉ちゃんというものを完璧な存在だと思っていた。それは私だけじゃなくて両親にとっても同じだったのだと思う。  家にある写真やビデオにはもれなくお姉ちゃんが必ず写っている。生まれた瞬間から、私は「お姉ちゃんの妹」という存在だった。生まれたての妹を可愛がるお姉ちゃん。小さな妹を優しく抱っこしているお姉ちゃん。なんでも真似したがる妹に根気よくいろんなことを教えてあげるお姉ちゃん。私の誕生日の動画にはいつもお姉ちゃんが華やかに歌って踊る姿がたくさん写っていて、お姉ちゃんの後ろの方でちょっとぶかっこうに手足を振って真似をしようとしている主役の私がかすかに写っている。  でも、「お姉ちゃんの妹」であることに不満を覚えたことは一度もない。ずっと「お姉ちゃんの妹」という立ち位置をのんきに不満もなく過ごしていくのが私の役割なのだから。  
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