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第十章 嵐のあと
あたりがすっかり暗くなり、
帰宅しないハルカを探しに来た千里が
道場に虫の死骸のように転がっている彼を見つけた。
はじめは死んでいるのかと思ったらしい。
血液と体液の混ざった異臭が鼻につく道場で
静かに横たわっているハルカを見つけたときの千里は
今まで見たことも無いほどの、
半狂乱の様相を呈していた。
「アイツにはそんな姿、見られたく無かったんやけどな。」
しかし、そうも言っていられないくらい
ハルカは肉体的にも精神的にもボロボロだった。
「千里が迎えに来た時、恥ずかしさと情けなさで泣いたわ。
僕の体の傷と出血とその他もろもろの匂いで
千里は何があったかすぐに理解したよ。
察しは昔から良かったからな。」
ハルカを見つけた千里も泣いていた。
「・・・・・・私が付いていながら、申し訳ございません。」
壊れ物に触れるように、抱かれる。
ハルカはその時、大の男が泣くのを初めて見た。
その足で組で世話になっている病院へ連れて行かれると
そこで性病の検査と、処置が行なわれた。
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