第十二章 決意 その2

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第十二章 決意 その2

とは言え全治三週間の診断はダテじゃない。 早速その夜から高熱が出、 丸一週間は起き上がることすら出来なかった。 肌寒い季節に水をかけられ、その上で暴行されたのだ。 当然といえば当然だった。 姉のなゆかは心配そうにハルカの元へ時々やって来ていたが ハルカは彼女には何も漏らさなかった。 「なゆかと親父には、このことは絶対に言うなよ。」 ハルカは千里にそう口止めし、 おとなしく回復の時を待っている。 なゆかはハルカがイジメに遭っている事を知ったときから 道場通いには反対していたし 親父はただでさえ、ハルカの事をひ弱な息子だと信じている。 知られたら、何を言われるか分かったものではなかった。 高熱で寝込んでいる間、 あの悪夢のような時間の夢を見てうなされていたが その間ずっと千里は傍にいて、ハルカを見守っていてくれた。 内臓へのダメージが思ったよりひどく、 一週間では難しいかとも思われたが、 ちょうど一週間経った日の朝、ようやくハルカは自力で起き上がり 食事が出来るまでに回復していた。 そのまま千里を呼びにいく。 「さ、お礼参りにいくで。」 「そう来なくては。」 ニヤリと笑うと、千里は準備を始める。 千里とハルカ。 二人だけの復讐の始まりだった。
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