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友よ
あの日、炎天下の中で待った友を。
自分は笑って許すことが出来た。
名も知らない花が咲く中で、この日がずっと続くのだと
信じて疑わなかった。
あの日、家族が泣く中で敬礼する友。
自分は笑うことが出来なかった。
真っ赤な花と自分は上を向き、
涙を堪え、送り出すしか出来なかった。
あの日、自分にも赤紙が届いた。
友もいるだろう、あの戦場に。
感情や想いが混ざるこの胸は、
未来へ残すことが出来ただろうか。
あの日、無事還ってこられた友。
自分も一緒に、またこの土を踏めた。
それぞれ片足、片腕を失くしながら、
赤い夕陽を背に「勲章だ」と笑えたんだ。
あの日、家族に看取られた友。
自分は笑いながら、感謝を伝えられた。
「あの頃、咲いていた花は
百日草というんだそうだ」
赤い花を手に、
遠くへ旅立つ友を今でも想う。
【百日草の花言葉】遠い友を想う
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