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「でも、奴は駄目にならないよ」
「どうして?」
「奴はとってもしっかりしてるんだ」
「何が?」
「奥さんを見れば分かるじゃないか。あの身の上であんな奥さんを選ぶ所からして奴は浮ついてないよ。実にしっかりしてる。質実剛健だ。打算的だ。ちゃっかりしてる。その点は感心するよ」
「僕は其の点は感心出来ない。だって、あの身の上なら綺麗な奥さんを選べるのに何で信子夫人なんか選ぶんだ?って理解に苦しむじゃないか!となる所なんだが、実は落合は僕の知る所ではまだ一軍と二軍を行ったり来たりの時分に信子夫人と付き合い出したらしいぜ。つまり、あの身の上になる前に信子夫人を選んだ訳だ」
「えー、何だ、そうだったのか。それじゃあ、身分相応・・・って言うか、蓼食う虫も好き好きとは言え、只、趣味わりーだけじゃねえか。感心する事なかったよ」
「いや、落合は信子夫人のお陰も有って、あそこまでに成れたんだぜ。だから僕は信子夫人を選ぶなんて凄い!僕にはとても真似出来ない!流石、見る目有る~!って感心するよ」
「ハハハ!何、言ってんだよ、今村。そこまでして落合の肩を持つ事ないじゃないか!俺は全く感心出来ないね」
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