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 氷炭相容れずか・・・そう思って啓介が無言の儘、虚無感に浸ってしまうと、二人の乗った電車が彼の知らぬ間に駅に停車していた。サラリーマンを始め平均化した無機質な人々がドアが開けば、そうしなければいけない様にどんよりとした空気の中をぞろぞろと下車して行く。二人が乗り込んだ時は芋を洗うようだった車両内は、二人以外ほとんどいなくなり、アナウンスの音やらベルの音やらドアの閉まる音やらが機械的にして二人の乗った電車が再び車輪とレールの軋む音と共に規則正しい音を立てながら進行すると、まるで機械と人が一体になって申し合わせた様に金太郎飴の様に同じ事を繰り返していると思う啓介の視界に映る物が何もかも流れ星の様に儚く消えて行く中、池尾が切り出した。 「それにしてもサラリーマンが去った後はスポーツ新聞がいつも散乱してるなあ・・・」 「掃き溜めの中に居る気分だ」 「掃き溜めなもんか!情報の宝庫だ!」と池尾は言うと、「落合を槍玉に上げた記事でも載ってないかなあ」と言いながら床に落ちているスポーツ新聞を拾い上げ、はぐっては広げて見る。
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