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三
結局、啓介は授業も飽き飽きしていたし大学に嫌気が差して2年生の途中で中退したが、その大学というのが美術大学で、その上、先天的に絵を描くことが得意なので美術に関するスキルを活かしてイラストレーターとして或る小さなデザイン会社に就職し、借家を借りて人間関係に気を病みながら細々と独り身で生きてゆくことになった。
女の方はと言うと、彼は可成りの面食いで中々自分の求める出会いが生まれないし、常人のように妥協したり同調したり出来ないエキセントリックな男だし、少年時代にスーパーカーブームの影響をもろに受けたことが幸いしたものか災いしたものか車が好きで気に入った車に乗れさえすれば、それで良いと思うような男だし、人を見る目は確かで女には見てくれにしか価値を見出せない(矛盾しているような逆説的なような述べ方で反感を買いそうだが、人の値打ちは頭が良いとかあれが出来るとかこれが出来るとかじゃなくて第一に品性で決まると思うからこう述べるのだ)ような男だから女は性欲を満たす対象でしかないとばかりにいい女を求めて月に一度くらい風俗に通うことを常とし、時には風俗嬢とデートらしきこともしたりして、それで満足していた。
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