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確かに俗人の様に利に喩ればメリットを感じるのだろうが、啓介は江藤と会話をしていても常に温度差を甚だしく感じ、話している内に観点も論点も次元も何もかもずれて来て啓介は高次へ江藤は低次へと流れ出し、何の実の有る話も出来ないし、そもそも価値観が全く合わいから、お互いの好みの楽曲もギタリストも全く合わなくて啓介が好きなジミー・ペイジに対しても江藤は、「あんなの古いし遅いし下手だから駄目だ。あんなの、練習してるから上手くなれないんだ!」の一点張りで楽器屋のスタジオで江藤と其のバンド仲間達と演奏する際も啓介の好きなギタリストの楽曲は決して取り上げられなかった。だから啓介は江藤と居るといつも不毛な砂漠に居る様な飢渇を感じていたし、江藤のバンド仲間達の中にも同志と成り得る見込みのある者がいないから江藤達と付き合っていてメリットよりもデメリットを感じて虚無感を覚えない訳にはいかなかった。
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