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当時は試合を最後まで中継する衛星放送は無論、無かったし、昨日のTV中継は試合を最後まで中継するNHKでは無くて延長中継が無く、中継が九時前で終わる民放だった為、啓介が斯様に嘆いた訳である。内原も宜なる哉と言わんばかりに、「ほんとだな、何でこう良い所でいつも終わっちゃうんだろうなあ・・・」と嘆き、啓介に諸手を挙げて賛成する。
「中日は勝ち味が遅いから中日ファンは特にそう思うんだろうな。」と木崎が皮肉交じりに口を挟む。
「そうなんざます。そこへ行くと巨人様は横綱相撲ざますから木崎さんはテレビ中継をご覧になってて、そんなに損な気をされたご経験が有りはしないんじゃあござあませんこと?」と啓介が再び、ざます口調で聞く。
「ハハハ!そうなんだよ。我が巨人軍は中日とは訳が違うんだよ。ハハハハ!」と木崎が再び機嫌良く笑った所で中日ファンの金子次郎がやって来た。「ハハハ!楽しそうだな。何、話してるんだ!」
「ああ、金子か、昨日の中日巨人戦、凄かったな。」と啓介が持ち掛ける。
「ああ、凄かった。でもテレビ中継では其の凄い所を見られなかったから各局のプロ野球ニュースを全部、見捲ってやったよ。何たって、あの憎たらしい江川を打ったんだからさあ、見ない手はないよ。」と金子が言えば、「ああ、そうだよな。僕も結果が気になってラジオをつけたら中日が大逆転勝利を収めた事を知ったんで各局のプロ野球ニュースを完全網羅して楽しんじゃったよ。いやあ、痛快だったなあ。」と内野が言う。
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