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 1982年、今村啓介は中学2年生でクラスの人気者だった。そして中日ファンだった彼は、ペナントレース終盤に差し掛かり尾張決戦と銘打たれた九月二十八日の中日巨人戦で中日が当時、難攻不落と言われていた江川投手を見事に土壇場の九回裏に攻略して四点差を追いつき、延長戦に持ち込んだ末、劇的な大逆転サヨナラ勝利を収めたので気分が最高潮に盛り上がった。  明けて気分が幾分か落ち着いた昼休みのこと、教室の窓際で手摺に捕まりながら所々に白い雲がぽっかりと浮かぶ長閑な秋空を頗る好い気分で独り、ぽかんと眺めていると、巨人ファンの木崎哲夫に話し掛けられた。
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