保護

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ピンポン♪ 玄関のチャイムの音に、心臓が跳ね上がる。 宮原さんだと分かっていても、さっきの男だったらどうしようと怖くなる。 私は、恐る恐る立ち上がり、ドアスコープから外を眺めた。 そこにいたのは、宮原さんと見知らぬ男性。 見知らぬ男性が一緒にいるだけで、なぜか怖くなった。 でも、開けないわけにはいかない。 大丈夫。 あの人は、宮原さんの知り合い。 トラックで来てくれた人。 自分で自分に言い聞かせて、そっとドアを開ける。 「大丈夫?」 開口一番、宮原さんは私の顔を覗き込んで言った。 黙って頷く私を見て、 「ごめん。怖かったよな。 由里子さんひとりにするんじゃなかった。」 と私をそっと抱き寄せて、あやすように背中をとんとんと軽く叩いてくれる。 その瞬間にまた涙が溢れてきた。 今、泣いてる場合じゃないのに。 でも、そう思えば思うほど、自分じゃ止められなくて、宮原さんの腕の中で、しゃくり上げながら泣いてしまった。 その間、宮原さんもそのお知り合いの方も何も言わず、私が泣き止むのを静かに待っていてくれた。 しばらくして、ようやく涙が収まると、今度は顔を上げるのが恥ずかしくなったが、そんな事は言っていられない。 私は、手で涙を拭って、顔を上げた。
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