保護

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「あの、すみませんでした。」 私が謝ると、 「気にしなくていいよ。 今日は普通じゃない体験をしたんだから。 でも、これからはもう大丈夫だよ。 何があっても俺が守るから。」 そう言って、宮原さんは優しく私の頭を撫でてくれた。 その時、私は隣からの視線に改めて気付き、慌てて挨拶をする。 「あ! すみません。お待たせして。 坪井由里子と申します。 今日はわざわざありがとうございます。」 ぺこりと頭を下げると、 「気にしなくていいよ。 大和がずっと言ってた晴野(はるの)(きみ)に会えて 嬉しいんだ。」 と笑った。 が、その途端、宮原さんに脇腹を叩かれて、 「イテッ! 」 と顔をしかめた。 「晴野の君?」 私が首を傾げると、お知り合いの方が教えてくれた。 「もう、ずっと前から飲むたびに言ってたん だよ。晴野店にかわいい子が来てるって。 毎日、夕方6時半過ぎに来て、熱心に本を 眺めて帰ってくって。 君のことだろ?」 私は決してかわいくはないが、毎日6時半の閉館後に宮原書店に行っていたのは事実だ。 私は困って、宮原さんを見ると、宮原さんはほんのり目元を染めて、恥ずかしそうにしていた。 本当にそんな前から、私のことを見ててくれたの? 信じられない気持ちでいっぱいだが、彼が嘘を言っているようにも見えないし、何より、宮原さんの態度がそれを肯定しているように見える。 もし、それが本当なら嬉しい。
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