保護

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「でも、それじゃあ、宮原さんが大変ですし、 そこまでしていただく理由も ありませんし。」 すると、宮原さんの目が真っ直ぐに私を見つめてくる。 え… と、私、何か、悪いこと、言った? 「理由。好きな人を守りたいっていうだけじゃ ダメかな。」 ボッっっ!! 顔から火が出るって、きっとこういうことを言うんだ。 恥ずかしすぎる。 そんなこと、初めて言われた。 私が熱い顔を隠したいのに隠せなくて困っていると、宮原さんが私の手を握った。 「今はまだ、俺の片思いなのは、分かってる。 でも、由里子さんを大切だと思う気持ちは、 否定して欲しくないんだ。 だから、俺に由里子さんを守らせて。」 こんなことを言われて、嬉しくない女性がいるだろうか。 「………はい。」 私は俯いて、握られた手を見つめながら、消え入るような声でそれだけ返事をした。 「じゃあ、連絡先、教えて。 送迎の時刻とか待ち合わせとか、 やっぱり必要でしょ?」 そう言われて、私は連絡先を教える。 「じゃ、由里子さん、おやすみなさい。」 必要な伝達事項が終了して、宮原さんは、私の 手を取って立たせると、そのままそっと抱き寄せた。 え? え? え? 私はわけが分からず、立ち尽くしていると、宮原さんはすぐに腕を解いて、私を部屋へと送り出した。 えっと、今のは、ハグ? これは… 普通の男女でもすること? 私は、今まで男性と関わったことがないから、したことがないだけ? 確かに、スポーツ中継で男女のミックスダブルスなんかで優勝した後、男女でハグしてるのを見たことは、ある。 そうか、ハグは別にお付き合いしていない人としてもいいんだ。 私はよく分からないながらも、そう結論付けて、深くは考えないようにして、ベッドに潜り込んだ。 はぁぁぁ……… それにしても、今日は、怖くて、ドキドキして、訳の分からない1日だったな。
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