同居と同期

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宮原さんに連れられてやってきたのは、隣の市にある店舗。 晴野店よりかなり大きい。 私は嬉しくなって、店内を歩き回る。 小説もマイナーな作家や、古い作品まで揃っていて、わくわくする。 私は中学生の頃に読んだ作品を見つけて、思わず手に取った。 懐かしい。 あの頃、感動したな。 私はもう一度読んでみたくなり、その本を持ってレジに向かった。 会計を済ませて、喫茶コーナーに向かう。 ゆっくりとコーヒーを飲みながら、ページをめくった。 「………さん。 由里子さん!」 名前を呼ばれてハッとする。 慌てて顔を上げると、向かいに宮原さんが座っていた。 「由里子さんは読書を始めると、周りの音が 聞こえなくなるんですね。」 宮原さんが笑って言う。 「あ、もしかして、ずっと呼んでくださって ました?」 いつものことながら、申し訳なくなる。 「呼びましたし、電話もしましたよ。」 「えっ!?」 私は慌てて携帯を開いた。 そこには、着信履歴が5回分、並んでいた。 「すみません。全然気付かなくて。」 「無事ならいいんです。 何かあったのかと、心配しましたけど。 次からは、まず喫茶コーナーを探すことに しますよ。」 宮原さんは、こんなにご迷惑を掛けたのに、全く怒ることなくそう言ってくれた。 本当に申し訳ない。
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