同居と同期

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帰宅後も、私は宮原さんを避け続けた。 着替えに部屋にこもり、そのまま部屋から出なかった。 コンコン 宮原さんが部屋をノックする。 どうしよう。 逃げ出したい。 だけど、それは大人としてどうなんだろう。 私はお世話になってる身。 最低限の礼儀というものがある。 私はドアを開け、 「宮原さん、先にお風呂に入ってください。 私はもう少し後で入りますから。」 と貼り付けた笑顔で言って、ドアを閉めようとした。 だけど… 「待って! 由里子さん、話をしよう。 お願いだから、話をさせてくれ。」 宮原さんは必死で訴えるけれど、私にはその話を聞く勇気はまだない。 「ごめんなさい。 今日は疲れたので、明日でもいいですか?」 そう言ってドアを閉めようすると、 「由里子!!」 と大声で呼ばれた。 「お願いだから、話を聞いてくれ。 俺は、本気で由里子が好きだ。 あの、君の同期の子が何を思って、 あんな風に君を貶めるようなことを言うのか 分からないけど、俺はずっと前から、真剣に 君のことを思ってる。 お願いだから、それだけは疑わないで 欲しいんだ。」 その声が必死で、私は思わず、彼を見てしまった。 宮原さんは、今にも泣きそうな表情で、真剣に私を見つめていた。
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