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毎日一緒に食事をしてるけど、思えば、こうして2人で外食をするのは初めてだ。
「これからは、たまにこうして外食も
しようか。」
宮原さんが言った。
「俺は、由里子さんの手料理が毎日
食べられてすごく嬉しいんだけど、
毎日それじゃ、由里子さんが大変だし。」
「いえ、お料理は好きなので、全然苦には
ならないんですけど、でも、こうして
宮原さんと出かけられるのは、
嬉しいです。」
私は思ったことを素直に口にした。
すると宮原さんは、照れたように口元を押さえて、
「由里子さん、かわいすぎ。」
と言うので、今度は私が恥ずかしくなる。
2人で頬を染めながら、おいしいお食事をいただいた。
店を出ると、宮原さんは、今度は海岸線を走らせる。
夕刻になり少し傾いた夏の太陽がキラキラと反射して、とても綺麗だ。
2時間程ドライブして、宮原さんは旅館の駐車場に車を止めた。
チェックインの手続きだけして荷物を預け、そのまま、旅館の下に広がるプライベートビーチに下りる。
作中で2人が想いを通わせたクライマックスのシーン。
宮原さんが用意してくれたシートに座り、海を眺める。
東向きの海には、夕日は沈まない。
私たちの背の方に日が沈み、水平線から月が昇ってくる。
満月を少し過ぎ、少し痩せた月。
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