初デートは…

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旅館に戻ると、荷物はすでに部屋に運び入れられていて、すぐに夕食を用意してくれた。 海の幸をふんだんに使ったお料理は、日本酒にもよく合ってとてもおいしかった。 2人で大浴場に行き、私が部屋に戻ると、先に戻っていた宮原さんが、浴衣姿でくつろいでいた。 湯上りの宮原さんは、浴衣だといつにも増して色っぽい。 男の人なのになんで!? 私は、目のやり場に困ってしまった。 冷酒を用意してくれていた宮原さんは、 「由里子さん、飲む?」 と声を掛けてくれたので、 「はい、少しだけ。」 と答えたが、どこに座っていいか迷う。 お酌をするなら、向かいより隣だと思うけど、浴衣姿の宮原さんの隣はドキドキしすぎて、お酒どころじゃない。 それでも私は、勇気を振り絞って宮原さんの隣に座り、お酌をしようとしたが、 「由里子さんからどうぞ。」 と言われて、冷酒用の小さなグラスを持たされてしまった。 宮原さんにお酌をしてもらい、私から宮原さんにお酌をする。 「乾杯。」 2人でグラスを合わせて、お酒を少し口に含む。 「ん、おいしいです。」 私が言うと、宮原さんは目を細めて笑った。 その目が優しくて、胸の奥がきゅんとする。 「あの… 」 沈黙に耐えられず、私は口を開いた。 「あの、宮原さんは、いつから私のことを、 その… 」 好きだったんですか?と聞きたくて、でも、恥ずかしくて最後まで言葉にはできなくて、語尾を濁した。 「聞きたい?」 宮原さんが私の顔を覗き込む。 それだけで、胸がきゅっと締め付けられる。 私は、黙って頷いた。
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