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「誰かに恨まれるようなことはしちゃいけない。これは当然わかるね?でも、好かれすぎてもいけないよ。真子ちゃんのためにもね。」 まだ私が幼かった頃、今は亡き祖母がよく言っていた台詞がこれだった。とりあえず、「うん。」とは返事をしたけれど、理解はしていない。だってよくわからないのだ。大なり小なり誰かに好いてもらえるなら、仲良くできるなら、それはいいことじゃないのかと。少なくとも、嫌われるよりは。そもそも、世界中のみんなが仲良しならそれは平和な世界のはずだ。だから、私は誰からも好かれるような善良な人間であろうとずっと心に決めていた。祖母は心配してくれているのだろうけど、ちょっと心配が過ぎるだけなのだ。だから、大丈夫だ。そう考えて、私は長いようで短かった幼少期を過ごした。
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