152人が本棚に入れています
本棚に追加
.*・゚ .゚・*.
鬼の松本が去った後。
「あのっ、花宮くん…だよね?」
耳に痛くない程度の高い声が後ろから僕の名前を呼ぶ。
椅子に座ったままに身体を立っている彼女の方に向け、ペコっと会釈した。
男子の中でも背の高いほうの僕ときっと女子の中でも背が低いほうの彼女とでは、座っているのと立っているのの差も感じさせないくらいに、あまり目線が変わらなかった。
「そうですけど…?」
「私、後ろの席の葉山かなって言います!で、あの…」
なんだろう、話しかけられることなんて…デカすぎて邪魔です、くらいしか浮かばないけれど。
よし、と一人で覚悟を決めた様子の葉山さんが、ゆっくりと口を開く。
「あの、突然なんだけど!私と環境委員やってくれませんか!?」
邪魔です!を待機していたから何を言っているのかが分からなくて、一瞬頭がフリーズする。
ようやく彼女の言葉が噛み砕けた時、思った。
…多分だし、本当に直感でしかないけれど。
この子とは仲良くなれる気がしない。
「えっと…どうして?」
苦笑いでそんなことを聞いたのがひとつ目の間違いだったかな、と今ではそうも思う。
…やっぱりその日は厄日だったんだ。
全てがちょっとずつ動き出す、運命が変わる。そんな厄日。
最初のコメントを投稿しよう!