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参。
俺たちの出逢いは、遡ること20年以上前になる。
高校の入学式で、多分俺は要に一目惚れしたのだと思う。
そのくらい要の佇まいや表情は魅力的で印象深かったのだ――残念ながら、あの時の要が俺を認識していたかどうかは不明だが。
社会人になってから偶然再会し、俺は能力を高く評価した上で要をこの会社にスカウトした。なかなか関係は発展しなかったが、一緒に会社を発展させていくために奔走した日々は本当に楽しく、飛ぶように月日が過ぎ去った。
一緒に働き始めてから8年の歳月を経て、晴れて俺たちは恋人同士になり、現在は共に生活を営んでいる。
そんなわけで、俺は要にゾッコンだし、要も少なからずそうであると信じている。にもかかわらず、嫌いなところを探せなど、俺にとっては苦行にほかならない。
――梅雨のじめっとした空気が、そんな気持ちに拍車をかける。
なんとはなしに陰気くさくなっている自分を奮い立たせ、新卒ルーキーの手柄を褒め称える。
社長は俺で、要は副社長だ。
この会社は、俺たちが育んできた大切な城だ――順調に業績を伸ばしつつあるこの会社をできるだけ長く継続するためには、若い戦力を大切に育てていくことが肝要なのだ。
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