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「我々のようなモノだと、縁の一つ一つが重要な意味を持ちますからね。マカ先輩とは今後も深いお付き合いをしたいですし」
「今回限りで終わりたいのが、私の本音だが?」
「ふふっ。どうなるか、楽しみですわね」
マカが渋い表情で、リリスが心底嬉しそうな表情で会話をしていると、奥からソウマが出てきた。
「お二人とも、仲がよろしいようで。ですがリリスさん、マカはお譲りできませんよ?」
「アラ、それは残念」
わざとらしく首を竦めるリリスを見て、ソウマの目が僅かにつり上がる。
「今日の茶は何だ?」
「アイスグリーンティーを用意しました。お茶請けはあんみつです」
「おっ、ソウマの手作りか?」
「いえ、マミヤです。彼は和食が得意みたいですからね」
「んっ、んまい」
満面の笑みで食べ始めるマカを見て、リリスは首を傾げた。
「ここは…喫茶店も兼ねているんですか?」
「ええ、まあ…。マカの希望で、ですけど」
そう言いながらソウマは二人の向かいの席に座った。
「座敷わらしがいるようですね」
唐突に言い出したソウマの言葉に、二人はきょとんとした。
「さすが情報屋、早いな」
「あなたのことに関しては、特に。ですが本当に座敷わらしではないのでしょう?」
「学校に出る座敷わらしか…。まあアイツはそういうのじゃないだろうな」
マカは眉間にしわを寄せながら、サクヤのことを話し始めた。
そしてミツルが語った特殊な体質を持つ能力者のことを。
「…なるほど。血の力で生き物を操る能力者、ですか。確かに同属にいそうですね」
「と言うことは…」
「今のところ、私にはそういった情報はありません。時間はかかりますが、調べておきましょう」
「それと念の為聞いておくが、そういう道具もないよな?」
「記憶操作、ですか…」
しかしソウマは腕を組み、難しい顔をする。
「―正直申し上げて、無いこともないんです」
「何だと!?」
マカは眼を見開き、息を飲んだ。
「ただ…その道具ですが、確かにミツルさんが説明したような似た効力は発揮します。しかし長時間は持たない物なんですよ」
「長時間と言いますと、どれぐらいですか?」
今まで黙っていたリリスも、険しい表情で尋ねる。
「マカから聞いたところによると、クラスメート約30人近くに、そういった記憶操作をした場合、効果は3日しか持ちません。人数が多いほど、持続しにくいんです」
「それはミツルが言ったような、匂いが関係しているのか?」
「はい。ですが効果が強い分、短い時間しか効かないのが弱点です」
マカとリリスは顔を見合わせた。
「それなら…」
「尻尾を出すのは三日後…いえ、もう二日後ってことになりますね」
リリスの確信めいた言葉に、ソウマは慌てて口をはさむ。
「ですがそれはあくまでも道具に頼った場合、です。血族の能力者であれば、それ以上でしょう」
「なら話は簡単だ。後二日でクラスメートたちの記憶が戻らなければ、サクヤは能力者。戻れば道具に頼らざるおえない者ということだろう」
「確かにマカの言う通りですが、問題はそのサクヤという人物がどこのモノかと言うことですよ」
「それはソウマ、お前に任せる。後二日で正体を調べてくれ」
「…その間、学校を休まれては?」
「イヤだ。アイツが私のいない間に、何もしないとは限らない」
「逆を言えば、何もしない可能性だってあるじゃないですか」
「だが何かをした場合、私がいた方が話は早く済む。私はこの気持ち悪い状態をとっとと片付けたいんだ」
ソウマは深く息を吐き、項垂れた。
「…わかりましたよ。こちらも全力で調べておきますが、くれぐれも一人にはならないようにしてください」
「見張りの者がいるじゃないか」
「それでもあなたはチョロチョロ動きますからね」
「私はネズミかっ!」
「ああ、でしたら学校にいる時はわたしがマカ先輩の護衛役をしましょう」
リリスの申し出に、二人は眼を丸くした。
「魔女の護衛だと?」
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