3人が本棚に入れています
本棚に追加
3
「強力だと思いますわよ? それにもし他の人間に何かしようものなら、対処しますし」
「むぅ…」
マカは口に手を当て、しばらく考えた。
「…それで貸し借りの方法は?」
「先程の名刺をわたしにもくださいな。マカ先輩とはぜひ連絡先を交換したいと思います」
リリスは華やかな美しい笑みを浮かべるものの、マカとソウマの表情はどこかイヤそうだった。
「正直申し上げて…。私としましては、魔女のあなたを完全には信用できません」
「まあソウマさんがそうおっしゃるのもムリはないでしょう。ですがこちらとしても、マカ先輩には無事でいてほしいんです。その為なら、協力体制になっても良いのではありませんか?」
「言葉は良いように聞こえるが…。お前、ようは他勢力に私を持っていかれるのがイヤなんだろう?」
「当然です。ですがマカ先輩はいろんな方を惹き付けてしまうので、大変ですわ」
「好き好んで厄介なヤツらを惹き付けるかぁ!」
激昂したマカの怒鳴り声を、二人は耳を塞いでやり過ごした。
「それはともかく。味方としては心強いと、マカ先輩は思いませんか?」
「むむっ…」
マカは今まで、魔女であるリリスに多くの厄介事に巻き込まれてきた。
だが裏を返せば、そのぐらいリリスの実力がスゴイということだ。
敵として厄介だった分、味方となれば心強い存在にはなる。
「…本当に守る側になるだけだな? 途中で余計な野心は出さないと誓えるか?」
リリスは自信ありげに微笑み、頷いた。
「誓えます。今はとりあえず、マカ先輩の安全が第一と考えていますから」
「…ならとりあえず、契約成立だな」
「マカ…」
「お前が渋るのも分かるぞ、ソウマ。だがコイツは強い。文句なしに、な。そして残念なことに、今の私には味方が少なすぎる。一時でも魔女の力を借りられれば、これほど強い味方もいないだろう」
「諸刃の剣と思いますが…。分かりました。あなたの言う通りにしましょう。ですがこの話し、長に報告してもよろしいですね?」
「あんのクソジジィに?」
マカの顔が、女子高校生とは思えないほど、そして有り得ないほど醜く歪む。
「そんな顔なさってもダメですよ? あなたのことに関しては、特に細かく報告するようにと言われているんですから」
「ジジィめ。自分がヒマなもんだから、私のトラブルを聞いて楽しんでやがるな」
「……そこは否定できませんが」
マカから目線をそらし、ソウマは言いづらそうに言った。
「まあ報告ぐらいなら良いだろう。ついでに聞いといてくれ」
「分かっていますよ。あとリリスさん」
「はい?」
ソウマは眼をスっと細め、リリスを真正面から見つめた。
「今はあなたにマカをあずけます。しかし少しでも妙な動きをしたなら…分かっていますね?」
「ええ。今回はあくまでも守る側に徹します」
胡散臭いことこの上ないが、ソウマは受け入れるしかない。
「…では情報は入り次第、すぐに報告します。くれぐれも自ら危険に近づかないでくださいよ、マカ」
「分かっている」
最初のコメントを投稿しよう!