3人が本棚に入れています
本棚に追加
2
「ミコトは私の従姉妹だ。ここ数年は会っていないが、元気にしているか?」
「ああ。元気そのものだったな。しかし自分の先祖が呪術師であったことは、暗い表情で語っていた。…マナ、お前も同じ先祖を持つモノなんだな?」
マナは軽く唇を噛んだ後、頷いた。
「―そうだ。私もまた、呪いと祝福を持つモノ。制御も対処もできない、血縁者だ」
「やはり、か…」
マカはため息と共に言葉を吐き出した。
「ミコトはここから1時間ぐらいの店に、自分の作ったアンティーク品を売り出している。カガミに言えば、連絡を取ることもできると思う」
「…そう。まっ、気が向いたら行ってみる」
そう言った後、マナは再び無表情に戻った。
その様子を見て、ミツルは肩を竦めた。
「無愛想な店員で申し訳ない。それで記憶改ざんのことですがね」
「ああ」
「カガミさんから連絡を頂いた後、俺なりに情報を集めてみましたが、他勢力があなた達の所へ向かったということはないそうです」
「…密かに、ということもなく?」
「ええ、断言できます。そもそもマカさん、あなたの所には余程強い力の持ち主でも無い限り、いろんな意味で近付けませんよ」
ミツルは遠い目で失笑する。
確かにマカの周りには人成らざるモノがウロウロしている上、護衛役のモノもいる。
そんじょそこらのモノが、簡単には近づけないのだ。
「なら道具の心当たりは?」
「そちらも残念ながら。…ですが昔、気になる話を聞いたことがあります」
「どんな?」
「大分昔の話なのですが…」
それはとある特殊体質の能力者の話。
そのモノは自らの血が発する匂いで、他者を操ることができた。
人間だけではなく、動物や植物なども自在に操ったらしい。
「血…。匂い…? …人や動物や植物を操る?」
呟いていくうちに、どんどんマカの表情が険しくなる。
「何だかマカ先輩の血族にありそうですわねぇ」
のんびりと芋ようかんを味わっているリリスが、考えながら言った言葉に、マカは動きを止めた。
「だがそんな能力者、聞いたことないぞ?」
マカの返答を聞いて、リリスは改めて正面から見つめる。
「…前々から聞きたかったのですが」
「何だ?」
「マカ先輩は血族の全てを知っているんですか?」
「……いや、全て、ではないが……」
渋い表情でマカは言葉を区切る。
何せ血族は謎が多い。
その上、マカは途中から表の世界に出てきているせいで、内情に少々疎いところがある。
それを今までルナやソウマにカバーしてもらっていたが…。
「だが能力者の種類については詳しいつもりだ。そんな体質の持ち主、いれば私と面会させるはずだしな」
「なるほど。強かったり特殊な能力者であれば、マカ先輩と面会可能なんですね」
最初のコメントを投稿しよう!