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「ミコトは私の従姉妹だ。ここ数年は会っていないが、元気にしているか?」 「ああ。元気そのものだったな。しかし自分の先祖が呪術師であったことは、暗い表情で語っていた。…マナ、お前も同じ先祖を持つモノなんだな?」 マナは軽く唇を噛んだ後、頷いた。 「―そうだ。私もまた、呪いと祝福を持つモノ。制御も対処もできない、血縁者だ」 「やはり、か…」 マカはため息と共に言葉を吐き出した。 「ミコトはここから1時間ぐらいの店に、自分の作ったアンティーク品を売り出している。カガミに言えば、連絡を取ることもできると思う」 「…そう。まっ、気が向いたら行ってみる」 そう言った後、マナは再び無表情に戻った。 その様子を見て、ミツルは肩を竦めた。 「無愛想な店員で申し訳ない。それで記憶改ざんのことですがね」 「ああ」 「カガミさんから連絡を頂いた後、俺なりに情報を集めてみましたが、他勢力があなた達の所へ向かったということはないそうです」 「…密かに、ということもなく?」 「ええ、断言できます。そもそもマカさん、あなたの所には余程強い力の持ち主でも無い限り、いろんな意味で近付けませんよ」 ミツルは遠い目で失笑する。 確かにマカの周りには人成らざるモノがウロウロしている上、護衛役のモノもいる。 そんじょそこらのモノが、簡単には近づけないのだ。 「なら道具の心当たりは?」 「そちらも残念ながら。…ですが昔、気になる話を聞いたことがあります」 「どんな?」 「大分昔の話なのですが…」 それはとある特殊体質の能力者の話。 そのモノは自らの血が発する匂いで、他者を操ることができた。 人間だけではなく、動物や植物なども自在に操ったらしい。 「血…。匂い…? …人や動物や植物を操る?」 呟いていくうちに、どんどんマカの表情が険しくなる。 「何だかマカ先輩の血族にありそうですわねぇ」 のんびりと芋ようかんを味わっているリリスが、考えながら言った言葉に、マカは動きを止めた。 「だがそんな能力者、聞いたことないぞ?」 マカの返答を聞いて、リリスは改めて正面から見つめる。 「…前々から聞きたかったのですが」 「何だ?」 「マカ先輩は血族の全てを知っているんですか?」 「……いや、全て、ではないが……」 渋い表情でマカは言葉を区切る。 何せ血族は謎が多い。 その上、マカは途中から表の世界に出てきているせいで、内情に少々疎いところがある。 それを今までルナやソウマにカバーしてもらっていたが…。 「だが能力者の種類については詳しいつもりだ。そんな体質の持ち主、いれば私と面会させるはずだしな」 「なるほど。強かったり特殊な能力者であれば、マカ先輩と面会可能なんですね」
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