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それから約二週間後、忘れかけた眼に再びその人が映った。その日も、兎の人形が隈のできた目でこっちを見ていた日であった。その人は今度は何やら川に向かって作業をしていた。太いロープのようなものを川に投げ入れ、それを引き揚げ、また投げ入れ、それを引き揚げた。その動作を何度々々も繰り返した。
僕はその人が乞食か何かかと思った。食べるものが少なく、魚でも釣ろとしているのかと思った。事実、この川には小魚の群れがあって、昼前にはアオサギの姿もあった。しかし明らかにそこそこの太さのあるロープで小魚が釣れるのかは疑問であった。
――しかしとうとう闇に赤く光る手が次第に鮮明になってきて、また僕は耐えられなくなって、その日もその場を離れた。
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