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思わず、大声を上げてしまった。
息ができない、息ができない……。苦しい。
「どうしましたか?」と店員さんがかけつけてきた。
「血が、あの血が」
「血ですか?」
「そこの壁一面に!」
とわたしは指を差し、薄目を開けた。
え、血が、ない、ない、ない。
先程まで、真っ赤に染まっていた壁が、ただの白い壁になっている。
どうして……。
「あのお客様、お客様~」
「……」
「お客様~」
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