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しゅっぱつの用意。
そんなわけで、鬼に会いに行くために用意をしなければいけない。山に行くから、しっかりとした準備が必要だ。
まず、とおくにいくために、お金が必要だ。サイフの中には560円入っていた。けっこう金持ちだ。これだけあれば足りるはずだ。
次に食料だ。かんたんに食べれるものがいい。お菓子とか、パンとか。
ぼくはおかんのいるキッチンにおそるおそる入っていった。まず、お菓子の棚から、せんべいとチョコレートを取った。あとはパンだが、なかなか見当たらない。
「なにしてんねん!」
おかんにばれた!ぼくはいそいで部屋に逃げ込んだ。おかんが追いかけてくる。
「ほんまになにしてんねん! もうすぐご飯やぞ!お菓子なんか誰が食っていいって言った?」
おかんがすごいけんまくで、部屋の扉を開けた。
「ちゃんねん!これはいま食べるんちゃうねん!」
ぼくは必死にべんめいしたが、おかんはぼくの食料すべてを奪い、キッチンに戻っていった。ぼくはいったん、あきらめた。
ぼくは仕方なく、次の用意にとりかかる。いちばんだいじなことだ。鬼を倒す道具だ。
玄関から傘を取ってきた。先っぽがいちばん鋭いやつを選んだ。そして、盾にぼくの教科書を選んだ。家庭科の教科書だ。いちばん厚くて大きい。
そして最後に昨日内緒で買っておいたラムネをバッグに入れた。きびだんごのかわりだ。うん。これで完璧だ。
ぼくは夕飯を食べ終え、キッチンからこっそりせんべいを3枚だけ盗んで部屋に戻った。そして明日に備え、すぐに寝ることにした。
部屋の机の引き出しに、しわしわに枯れたさくらんちゃんのはなびらがある。そのうちの1枚を手に握り、ぼくは眠った。
「もうすぐだよさくらんちゃん。」
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