恋愛性突発的『ワタシ』変動。

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「ねえねえ、私、なんか変わったところなぁい?」  春の連休が開けて、教室の、窓際の席に座っていると、小学校以来の親友が飛びついて来る。  なんか、いつもに増して楽しげだ。  にしても、変わったところ、か。  ……うーん。正直、何も変わっていないように見える。というか、こう改めて見ると、結構綺麗な顔してるな。ずっと一緒にいると、逆に気づかないことも多いもんだ。 「変わったって言ってもなぁ……髪型!」  パッと見変わってないけど、実は細かいところいじってたりだとか…… 「それは違うかなー。」  違ったらしい。 「じゃあ、シャンプー。」  とりあえずこれは、この手の質問で定番……な気がする。 「それも変えてないね。」  違ったか。まあ、確かに前と変わらない、柔らかい匂いがするけど……なんかこの匂い、落ち着くのよね。変わってなくて、良かった。  にしても、本当にどこも変わってなくないか? 髪型も服装も肌も、アクセサリだって付けている様子はないし…… 「じゃあ何なのさ。」  仕方ない。答え合わせといこう。 「ふっふん。実はこの私、恋をしてしまったのです。」  ……は?  予想外の答えに、体も予想外な反応をとるらしく、胸の奥がチクリとする。 「え、それ変わったことと関係ある?」 「いやぁ、恋をすると人が変わるっていうじゃあないの。いやね、夏休み中、本屋に通いつめていたらね、なんかめっちゃカッコイイ店員さんがいてね、気になってみてたら、目ぇあっちゃってさー……」  何だろう、これ。胸のチクチクが治まらない。収まらないどころか、喉元まで込み上げて、息を苦しくしてくる。なに、これ? 「で、何が変わったの?」  これ以上、彼女の好きな人の話を聞いていられない。辛い。でもどうして? 「わかんない。それを第三者の視点から探って欲しかったのよ。」  第三者……どうしてその言葉が、こんなにもどっしりと、胸に響くの? 「じゃあ、何にも変わってない。」  どうして私、こんなにも、素っ気なく答えてしまうの? 「いや、何にもってことはないでしょ。」 「何にも変わってない!」  どうして涙声で、声を荒げてしまうの? 「え……あぁ、そうだね。」  どうしてこんな私に困っている彼女を見ていると、ドロッとした優越感がこんなにも沸いてくるの? 「……ごめん。」  ただ、彼女に悪いという気だけがして、ただ、謝った。  それから私は、変わってしまった。
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