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ある雨の日、ウィリアムはラング兄弟を放浪者の溜まり場と言われている旧市街地に呼び出した。
雨と夜も遅いということもあって、辺りには人影はない。
「怪事件の解決? それを私に勤めよと?」
「そうだ」
雨が傘を叩く音が響くなか、ウィリアムは自分の考えを語り出す。
「今までは、汚れ仕事専門の貴族がいたのだが、なにぶん、肥えた豚に成り果てたのでね。これを期に、代替わりをしようと思ったのさ」
「なぜ、私なのですか?」
メサイアは困惑を隠せない表情で、王子を見つめる。
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