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「きみたちが若いからだよ。ゆくゆくは、俺の右腕になってもらう。だが、老いぼれでは、共に国を支えるどころではないからな。  当然、引き受けてくれるだろう? メサイア君」  メサイアはぐっと手を握りしめた。 (どうする。断れば、ラング家は潰される。しかしだからといって、事件ばかりに目を向けていて、領地の民たちの声を聞き逃すことは、あってはならない。私に、二つの仕事を同時にこなせるのか?)  リヒトは兄の横顔を見つめていたが、ふとその視線を、ウィリアムに向けた。 「その汚れ仕事、僕が引き受けても構いませんか?」 「リヒト!? なにを言い出すんだ」 「ほう。きみのような、10歳になったばかりの子供に、できるとでも?」  ウィリアムが品定めをするように、目を細める。
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