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 ウィリアムの話は続く。 「そして厄介なことに、己の私腹を肥やすことに夢中な輩は、利用できないと分かれば、どんな方法を使ってでも潰しにかかる。家を存続させたいのなら、リヒト君の気持ちを汲むことだ」  メサイアは自分の無力さに、唇を噛む。そんな兄の手を、リヒトはそっと握った。 「兄上。家を守りたいという思いは、僕も同じです」 「……私には、リヒトしか残されていないのだぞ」 「僕だって、兄上を置いて逝くようなことはしません。兄上、共に父上が築き上げた家を、守りましょう」 「……あぁ」  メサイアはリヒトの小さな手を、握り返した。 「話しはまとまったようだね。早速だがリヒト君。きみに仕事だ」  ウィリアムは黒い封筒を、リヒトに差し出す。
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