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 封筒には、王家の紋の封蝋が施してあった。  ウィリアムに促され、リヒトは中身を取り出す。それはとある事件の、調査記録書だった。 「これは最近、街で騒がれているあの事件のですね」  リヒトの言う事件とは、ラング領と王国直轄領の街で噂になっている事件で、雨の日に金髪碧眼の10歳前後の少年が行方不明になったのち、見るも無惨な姿となって見つかるというもの。  「知っていたか。憲兵たちは死体に共通点がなら話が早い。その事件を解決してくれたまえ。それがきみの最初の仕事だ」 「リヒト・ル・ラング。必ずや殿下のご期待にお答えしましょう」  リヒトは恭しく、頭を下げた。
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