第一章《4》 まゆり、乾燥無花果を差し出す

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「あの、あなたは?」 「名乗る必要はない」 「聞き間違いじゃなかったら、私のすべてってことだけど。間違いならごめんなさい、えっと、ナンパじゃなくて、野盗ってことでいいのかな」 「……。……ああ」  何その間。まゆりは、ゆったりしているように見せつつ、必死に頭を回転させる。  そして、ごそごそと自分の懐を探った。  唯一持っていたのは、夕食のとき、おやつにしようと残しておいた乾燥無花果だ。  まゆりは、それを漆黒の鎧へと差し出した。 「私をあげることはできないの。私は、これから魔法使いになるんだから」 *
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