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赤
とても、とても強い目
その眼差しは熱く私を焦がし、揺れる瞳は私を逃す事はない
燃え上がるような赤、宝石のような輝き
そんな目を持つ貴方に恋をしたーー
「何書いてるの」
「わーーっ!!!?」
後ろから聞こえた声に飛び上がる
「な、なあ!?なんでいるのよ!!」
「別にいいだろ」
「よくない!ここ私の部屋!!」
振り返った先には幼馴染の彼。私には意地悪なのに学校じゃ王子様。私に言わせれば詐欺師だ、皆んなキレイな顔に騙されてる
「んで?何書いてたの」
「あっ」
ひょいっと手元から取り上げられた手帳に、慌てて手を伸ばす
「か、返して!!」
「いやだね」
「ひいっ!読まないでよ!!!」
「いーやーだ」
ニヤつきながら手帳をめくる彼は、まるでダンスを踊るかの様なステップで私を避ける。ああ意地が悪い!!
「ふーん、随分情熱的なポエムを書くんだな」
「私の勝手でしょ!!いい加減返して!」
「この“貴方”っていうのは?」
「だ、誰だっていいでしょ。関係ない!」
「関係ない、ねえ…」
ピタ、と彼の動きが止まる
「うわっ」
突然止まるものだから勢い余って胸元に飛び込んでしまった。くつくつと笑う声にパッと顔を上げれば、そこには綺麗な赤が二つ
「本当に?」
愉快そうにスッと細められたそれから、逃げる事なんて出来なかった
「ほんと、意地悪」
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