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EP1
〈これは3年前俺が中学に上がった頃の話…〉
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中学に入学して一ヶ月が過ぎ、
桜も散り ようやくクラスに馴染んできた頃 ひとりの転校生がやってきた。
「佐原 文(さはら ふみ)です。…よろしくお願いします」
背が小さく、前髪で目は隠れ…正直第一印象は良くなかった。
「佐原の席は…廊下側から2列目の一番後ろな!隣の常和!しばらくわかんないこととか教えてやってくれるか!」
最悪、俺かよ…
「とーきーわーかーいーとー。返事!」
「へーい」
返事はしっかりしろ!と怒鳴ってる担任の声はクラスメイトの笑いでかき消され、俺はこっちに歩いてくる佐原に目をやった。
挨拶くらいしとくか?
「俺、常和海斗(ときわ かいと)。なんかあったら聞いて」
「あ、はい」
なんで敬語?てかそれだけ?!
まだ中学生だった俺は自己紹介を一言でかたつけられたことに恥ずかしさと苛立ちを覚えちょっとした嫌がらせをしようと考えた。
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そして1ヶ月が経ち、梅雨入り…
雨が酷く降る日だった。
転校してきてから佐原は自分から積極的にコミュニケーションをとることはなくクラスでは浮いた状態。
分からないことなんて聞かれたこともなかった。
13歳だった俺は1ヶ月もたったのにも関わらず自己紹介した時のことを根に持ち続けなにか嫌がらせしてやろうと考えていた。
そしてこの雨の降る日、あまり人が来ない空き教室の掃除用具入れに傘を隠した。
おそらく雨に濡れて帰った佐原は次の日欠席した。
「佐原は熱で休みだ。最近梅雨入りして雨も多いから濡れて帰って風邪ひかないように気をつけるんだぞー」
ちょっとざまあみろなんて思ったと思う。
でもこの後、俺は自分でしたことを先生に話すことになる。
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