繋がる妄想

捨ててもいいと思っていたのだから、
返す必要もなければ、何の見返りも要求していない。

その女の子は、驚きながらも真っ赤な傘を受け取ると、
ペコリとお辞儀をして、それをさすこともなく走り去っていった。

せっかくあげたんだから、濡れずに帰ればいいのに…。
そうは思ってみたが、もともと何の未練もない傘で、
人に親切にしてやれたという満足感から、
私は当初の目的であるコンビニに向かうことなく帰っていった。

たぶん、それを誰かが見ていたんだろう。
不審者として通報されていた。