激動の年

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翌日、私達の班は卒業間近のイベントで校長室にて給食を食べることになった。毎週月曜日の集会でしか見ない校長先生と面を付き合わせて給食を食べることに何の意味があったのだろうか。いい歳になった今でも理解が出来ない。 「あなた方と一緒に給食を食べることが出来て楽しいですよ。お話が出来て楽しいです」 校長先生と話をすると言っても「どんな本を読む」「好きな教科は何ですか」「この小学校にいた時の思い出は」と言った他愛の無い話であった。私に話の順番が回ってきた時、昨日から引っかかっていたことを校長先生に尋ねてみた。昨日は校長先生が顔を真っ赤にしてのどんちゃん騒ぎを見ている、募金のお金を使っていたとしたら同罪だ。 「校長先生」 「何かね?」 「僕、商店街の居酒屋の息子なんですけど…… 昨日、先生たちそこで宴会やってましたよね? 昨日のお酒のお金どこから出たんですか?」 校長先生の目がいきなり泳ぎだし、全身も僅かに震えて落ち着きが無くなった。冷や汗をダラダラと流し始めた。校長先生は震える声で言う。 「わ、私達のお給料から先生方みんなで…… だ、出し合いましたよ」 「真っ赤な嘘です! 昨日の先生たちが出したお金の中に僕たちが折り目を付けた千円札がありました!」 「お、折り目ぐらいどんなお金にも……」 「僕たち、遊びで夏目漱石の顔に折り目付けたんです! その折り目のついたお金が昨日の売り上げの中に入ってました」 「き、君ぃ…… 先生たちが神戸や大阪で困ってる人たちに送るお金でそんなことするわけがないじゃないかぁ…… 君の言うことこそが真っ赤な嘘じゃないか……」 校長先生は弁明をするがその目は泳いでおり、全身は震えている。私はそれを見て先生たちが集めた募金を飲み代に使っていたことを確信した。 「皆、地震で辛い人達の為にってお金出したんです! そんなお金をお酒飲むのに使って恥ずかしくないんですか!」 私がこうして叫ぶと同時に担任教師が口を塞ぐように静止に入った。 「いやぁ、この子はクラスでも嘘を吐いて回りを楽しませる子でして」 確かに荒唐無稽な嘘を吐く小学生はいるが、私はその類ではない。担任教師がとっさに吐いた真っ赤な嘘である。それを聞いた瞬間に校長先生は冷や汗を拭きながら私の頭をいいこいいこと撫でた。 「回りを楽しませるために面白いことをいうのは構わないけど、今のように先生方を傷つけ貶めるような真っ赤な嘘を吐くのは良くないなぁ…… 面白くないよ」 「違う! 僕は嘘なんか言ってない!」 担任教師は私を連行し引きずり出すように校長室から退出させた。私以外の班員はそのまま校長室で話を続けている。先程までの和やかな空気は一変しピリピリとしたムードになっていた。こんな空気で何を話せばいいのか班員も困りものである。
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