そうだったんだ

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そうだったんだ

 それから私はダラダラと学校生活を過ごした。周りは受験のために遅くまで学校に残って勉強をしていたけど、私は帰りのホームルームが終わってすぐに帰ってた。  だけど、ある日。あの男の子が一緒に帰ろうって誘ってくれた。勉強はいいの? って聞くと、「大丈夫」って返された。  一緒に帰る道。そこで私は前に怒ってごめんって謝った。男の子は「それも大丈夫」と笑顔で言ってくれた。一安心して、男の子がどうして帰っても良いのか聞いてみると、意外な答えが返ってきた。 「俺、トレーニングジムのトレーナーになるんだ。筆記とかよりも筋トレしないといけないから」  私は純粋にスゴいねって言っていた。実際スゴいって思う。それだけ筋肉があるってことだから。確かに男の子は身長も高いし、体格も良い。  私が男の子の身体をまじまじと見ていると、男の子は「腕でも触ってみる?」と立ち止まった。  私も立ち止まると、男の子の腕を触ってみた。確かに硬く、私はついお腹もつついてしまった。男の子は「くすぐったいよ」と笑ったが、その腹筋も硬かった。  でも、どうして? とも聞いた。男の子ならどの大学にでも受かりそうなのにって。  すると、男の子は笑顔を浮かべて言った。 「ジムならいろんなところにあるからね。それで好きな人の近くにいてあげられるようにって思ったんだ」  私はそうなんだ、って言った。でも、とっても複雑な気持ちだった。
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