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驚いた
それから受験シーズンへと入った。試験で疲れた友達の愚痴を聞いてあげていると、こんな噂を聞いた。
「ゆりの事が好きだって男子がいる」
私は誰か分からなかった。でも、この噂は有名らしく、私がアプローチを無視しているらしい。
私は誰なのか聞いたけど、誰も教えてくれなかった。モヤモヤした気持ちで帰ろうとしたら、男の子が「一緒に帰ろう」と言ってくれた。
そこで私は聞いてみることにした。噂になっているなら知ってるんじゃないかと思って。
それを聞いたら少し引きつったように笑って男の子は相づちを打った。私が誰なんだろうねって聞くと、男の子も「誰、なんだろうね」って言った。
「それより長谷川さん。俺も内定が決まったよ」
突然だったので、私は驚いた。決まったところは有名なジム。私の方が何故かテンションが上がってしまって、大きな声でおめでとうと言いながら握手する。男の子は少し驚いたけど、すぐに手を握り返して、はにかんでくれた。
そしたらまた突然、男の子は聞いてきた。
「長谷川さん、花言葉って知ってる?」
私は少しなら知ってるって答えた。私の名前の[ゆり]も花だから少しだけなら分かる。すると男の子は確認してきた。
「卒業式の後、少しだけ時間をくれないかな? 渡したい物があるんだ」
渡したい物が何かは分からなかったけど、私は分かったって答えた。
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