0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、なんで『オリジナル』に会わせてくれるの?」
アンドロイドは、私のうしろを付いてきながら尋ねてきた。
「あら、あなたが会いたいって言ったんじゃない。」
「いやぁ、そうだけどさ。だって大切な人なんでしょ?それ壊すっていう人を、普通案内する?」
アンドロイドのことを『人』…ね。本当に面白いアンドロイドだ。
「そうね…簡単に言えば、私、アレが大嫌いなの。だから、個人的には壊してくれるならむしろ大歓迎かな。」
「え、なんで?」
アンドロイドのその質問は無視して、今度は私から尋ねる。
「あなたこそ、なんで『オリジナル』を壊したいの?」
「え、うーん…何かが変わると思ったから。」
アンドロイドは口を尖らせながら曖昧に答える。私が黙っていると更に続けた。
「だってさ、今のこの気持ちも、私が話そうと思ってることも、その『オリジナル』って人のプログラムのコピーなんでしょ?
私がこうしたいーって思うのも、『オリジナル』の人がそう思うはずだから、そのプログラムを真似て思っているだけなんでしょ?
でも、私とその人は同じだとは思えないし、思いたくない。私は『ミツキ』で、『ミツキ』がそう思うからなんだっていう証拠が欲しいの。」
「だから、壊すの?」
私の問いかけにアンドロイドは言葉を詰まらせる。どうやらそれが正しい答えではないということは、わかっているようだ。思わず、笑い声を漏らしてしまう。
「な…なにが可笑しいの?!」
「ふふっ…ごめんなさい。昔の私を見ているようで。」
「お姉さんの…昔?」
最初のコメントを投稿しよう!