2.お姉さんの昔話

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「ねぇ、なんで『オリジナル』に会わせてくれるの?」 アンドロイドは、私のうしろを付いてきながら尋ねてきた。 「あら、あなたが会いたいって言ったんじゃない。」 「いやぁ、そうだけどさ。だって大切な人なんでしょ?それ壊すっていう人を、普通案内する?」  アンドロイドのことを『人』…ね。本当に面白いアンドロイドだ。 「そうね…簡単に言えば、私、アレが大嫌いなの。だから、個人的には壊してくれるならむしろ大歓迎かな。」 「え、なんで?」  アンドロイドのその質問は無視して、今度は私から尋ねる。 「あなたこそ、なんで『オリジナル』を壊したいの?」 「え、うーん…何かが変わると思ったから。」  アンドロイドは口を尖らせながら曖昧に答える。私が黙っていると更に続けた。 「だってさ、今のこの気持ちも、私が話そうと思ってることも、その『オリジナル』って人のプログラムのコピーなんでしょ?  私がこうしたいーって思うのも、『オリジナル』の人がそう思うはずだから、そのプログラムを真似て思っているだけなんでしょ?  でも、私とその人は同じだとは思えないし、思いたくない。私は『ミツキ』で、『ミツキ』がそう思うからなんだっていう証拠が欲しいの。」 「だから、壊すの?」  私の問いかけにアンドロイドは言葉を詰まらせる。どうやらそれが正しい答えではないということは、わかっているようだ。思わず、笑い声を漏らしてしまう。 「な…なにが可笑しいの?!」 「ふふっ…ごめんなさい。昔の私を見ているようで。」 「お姉さんの…昔?」
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