Stalker

10/16
前へ
/16ページ
次へ
 三ヶ月も過ぎた頃には、僕の恵美に対する想いは限界を迎えていた。これ以上、我慢し続けることなどできはしない。まごまごとしているうちに、他の誰かに恵美を(さら)われてしまっては元も子もない。僕は意を決して、恵美に想いを伝えることにした。  日曜日、僕は一日コンビニに行くのを我慢して、家で待機する。きっと、いつも顔を出す僕が全く顔を出さなければ、嫌でも恵美は僕のことを意識せざるを得ないだろう。これも僕の作戦の一つだ。  待っている時間が、ひどくゆっくりと流れていく。何度も何度も時計を見てしまう。自分の中では一時間くらい過ぎたような感覚がするのに、時計の針は10分も進んでいない。  僕はそんなふうにしながら、恵美の仕事が終わる午前0時を待った。午後11時を過ぎてからの一時間は、特に時間が進むのが遅く感じられた。そして午後11時50分、僕は家を出て、コンビニへと向かった。だけど、中には入らず、レジに恵美が立っていることを外から確認して、そのまま通り過ぎる。そして、駐車場の隅で、恵美が仕事を終えて出てくるのを待つ。  おそらく、仕事を終えて着替えて出てくるまでには5分もかからないだろう。時計の針は午後11時55分を指している。もう、あと10分もすれば、僕の素敵な恋が始まる。それを想像すると、体中がゾクゾクと震えた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加