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午前0時を過ぎた。あとはこのまま待っているだけだ。一秒一秒が過ぎていくのがひどく遅く感じられる。まだかまだかと、僕は何度も心の中で呟く。それでもなかなか恵美は姿を現さない。僕はひたすら時計とにらめっこを続ける。
ようやく10分が過ぎたところで、恵美がコンビニの中から出てきた。僕は一度咳払いし、声の調子を整えてから恵美に近づく。
「やあ、こんばんは」
僕が声をかけると、恵美はすぐに気づいて、いつもの可愛らしい声で、
「あら、こんばんは」
と返してきた。それから、
「今日は一度もいらっしゃいませんでしたね。何かあったのかと、少し心配していたんですよ」
と続ける。
その言葉で、僕は完全に確信した。間違いなく、恵美にとって僕は特別な存在なのだと。特別な客というわけではない。人間として、男として特別なのだと。僕は思い切って恵美との距離を詰める。
僕は一度大きく深呼吸してから、気持ちを落ち着ける。告白なんて僕の人生においてはじめてのことだ。受け入れられるのが間違いないとわかっていても緊張してしまう。
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