Stalker

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 小鳥遊は胸元のボタンを開けていた。少なくとも僕が店に入ってきたときにはそんなことはなかったはずだ。ということは、僕がこのレジに並ぶのを見計らって開けたということだろうか。シャツの隙間からは、柔らかそうな胸の膨らみと、それを包み込む赤いレースの下着が覗いている。  いったいどういうことだろうか。もしかして、彼女は僕に好意をいだいているのだろうか。そんなことを考えていると、小鳥遊が、 「お弁当、温められますか?」  と僕に尋ねる。 「あ、お願いします。それとタバコ3つ」  僕はいつものようにそう言って、しまったと思った。川野や黒谷ならそれで通じるが、小鳥遊が僕の吸っているタバコの銘柄など知るはずもない。慌てて言い直そうとしたその時、小鳥遊はスッと静かにタバコの商品棚に向かい、ロングピースを3箱持ってきた。それはまさに僕がいつも買っているタバコだ。 「よくこのタバコだってわかったね」  僕は驚いて尋ねた。すると小鳥遊は、ニコリと笑顔を浮かべて、 「常連さんのことを川野さんに訊いて勉強したんです」  と変わらない可愛らしい声で答える。
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