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通学電車
美雪はいつも、始発駅でこの電車に乗る。よって、通勤、通学時間のこの電車でもたいていの場合は座って乗っていくことができるのだった。
そして最近、そんな美雪の近くにその、犬のような男子高校生が乗ってくるようになったのである。
同じひとを毎日のように、同じ車両や立ち位置で見かけることは珍しくない。
乗る駅、もしくは降りる駅の都合。その車両が停まる場所がエスカレーターに近いとか、あるいはいつも乗るのがぎりぎりになって、駅の階段を駆け下りたそこに停まっているのがその車両だとか。
ひとによって色々と好都合なことや、事情があるのだろう。そんな、人間模様も垣間見られるような、通勤、通学電車。
大勢のひとがほぼ無言で数十分も同じ空間、それも狭い場所に収められて移動していく、ある種、不思議な場所である。
そんな電車の巡り合わせともいえるだろうか。犬のような彼が美雪の近くに乗ってくるようになったのも。
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