「プロローグ」

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ

「プロローグ」

 ケーキは、人であれ魔物であれ、誰だって幸せにしてしまう魔法のような食べ物だ。  小さい頃、そう信じていた記憶がある。  昔の記憶に思いを馳せながら、ミーレクは紅茶のように赤みがかった茶髪をポニーテールに結う。  今思えば、あの頃はなんてピュアな考え方をしていたのだろうか。  当時の恥ずかしさと懐かしさに、鏡の中に映る自分は笑みをこぼしていた。 「さて、準備よし!」  小花柄の可愛らしい制服をその身にまとったミーレクはスカートの裾をピッピと払い、軽やかに部屋を出た。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!