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Track 08:年下でも男の子ですから
シーン9 /美容サロン店内・夜
SE : 店内に流れているBGMの音
カオル:
「はあー、
スマホがうんともすんとも鳴らない……」
アサギ:
「珍しく弱ってるな、どうした?」
カオル:
「今日さー、
居酒屋で勧誘したおねえさんが
片想い相手に告白する日なんだよね~。
もー、俺朝から胃がキリキリしてて~。
うまくいってほしーよーな、
いってほしくないよーな。
複雑な気分~!」
アサギ:
「相手は顧客なんだろう?
なら、上手くいく方を祈っておかないとな。
惚れて肩入れするのは無しだぞ」
カオル:
「わかってます~!
ただなんって言うか、
あのおねえさんだけは、
真っ直ぐすぎてなんかほっとけないんだよね~。
不器用と言うか、純粋というか。
幸せになってはほしいんだけど、
変な男には引っ掛かってほしくないというかー!
わかるかね、あっくん!」
アサギ:
「さっぱりわからん。
が、カウンターでウンウン唸られるのも
迷惑だ。
事情はよくわからないが、
連絡したいならさっさとしてこい」
カオル:
「無理~!
いま電話して、
うっかり告白の出鼻くじいちゃったら
いたたまれないから、
やっぱりもうちょっと待ってみる~」
SE : カウンターにカオルが頭を乗っける音
アサギ:
「そうか。ならそんなどんよりした空気を
店に持ち込むなよ、営業中だ」
カオル:
「はーい、元気でにこにこやりますよー」
アサギ:
「しっかりしろよ、
愚痴なら後で聞いてやる」
カオル:
「ありがとー。
うまくいったら愚痴聞いて~」
アサギ:
「うまくいったらか。わかった」
SE : 主人公が店に近づいてくるヒールの足音
カオル:
「あれ、この足音……」
SE : 主人公が扉を開けて中に入る音
カオル:
「あー! やっぱりおねえさんだー!」
SE : カオルがカウンターから立ち上がる音
SE : 主人公がカオルに駆け足で
近づいてくる足音
SE : 足音が止まる
SE : 主人公がカオルに全力で頭を下げる音
カオル:
「わわっ、デジャブ!
おねえさん、頭をあげてー!
フラれたこと謝らなくていーからー!
むしろこっちが謝らなきゃだから~!」
SE : カオルが頭を下げる音
カオル:
「力になれず、ごめんなさい!
こちらこそ
色々とアドバイスもらったのにって、
もー、おねえさん、
そーゆーのはいいから~!
泣いてんじゃん、もー」
SE : カオルが主人公の頭をなでる音
カオル:
「ちゃんと失恋、できましたか?」
SE : 服の裾で涙を拭きながら、
主人公がうなずく音
カオル:
「なら救いがあったかな~?
もーすぐ閉店だから、
もうちょっと待っててくれる?
時間が来たらソッコー飲みにいけるよーに
準備するからさー」
アサギ:
「ほう?
閉店作業をほったらかして
どこへ行くって?」
SE : ヒュオオオ(吹雪く音)
カオル:
「あっくん……!
あーこれはそのー。
お願いあっくん、
今回は事情があるから見逃して!」
SE : カオルがアサギに頭を下げる音
アサギ:
「事情があるのは
一部始終見ていたから大体わかる。
……しょうがない、今回だけ特別だからな。
もうあとはジュンの顧客だけだし、
先に上がっていいぞ」
カオル:
「いいの? あっくん、ありがとー!」
SE : カオルがアサギに抱きつく音
アサギ:
「男が抱きつくな、むさ苦しい!」
SE : アサギがカオルを引き離す音
カオル:
「あっくん、ひどいー!」
アサギ:
「じゃれてる場合か。
さっさと行け、
チハルが降りてきたら
面倒くさいことになるぞ」
カオル:
「そーだった!
じゃああとはよろしくね、あっくん!」
アサギ:
「ん」
カオル:
「おねえさん、ほら鬼が来る前に行こ!」
SE : カオルが主人公の手を引き、
店を出ていく足音
SE : 扉を開いて、閉まる音
シーン10 / 街中・夜
SE : 二人が走る足音
カオル:
「ここまで来れば問題ないかなー?
おねえさんもごめんね~、急に走らせて。
ちーくんにみつかると、
お説教&筋トレの刑に処されるから~!
あ、笑ってるけど、
その時はおねえさんも一緒に
筋トレだからね~?」
SE : 主人公がカオルの肩を軽く叩く音
カオル:
「あはは。さすが元体育会系。
どんとこいって、かっくいー!
でもまあ、
今夜はゆっくり二人でのみたい気分だから、
筋トレはなしねー?
お店、どこにしよっか?
個室がいいよね、ちょっと待ってて、
いま検索するから……」
SE : カオルがスマホを取り出して
タップして検索する音
SE : 主人公がカオルの頭をなでる音
カオル:
「おねえさん、
いま俺のこと、
すっごく子ども扱いしてない?
何回も言うけど、
俺も男だからね?
油断してるととって食っちゃうぞ、
がおー!」
SE : 主人公がカオルの肩を軽く叩く音
カオル:
「むー! おねえさん、油断してるなー?
……隙ありっ!」
SE : カオルが主人公の腕をとって引き寄せ、軽く抱き締める音
カオル:
「(耳元で)えへへっ、つっかまえた♪」
SE : 主人公が
カオルの腕の中から出ようと足掻く音
カオル:
「(耳元で)おねえさん、
俺にこーされるの、嫌?」
SE : 主人公の動きが止まる音
カオル:
「(耳元で)だっこされるの恥ずかしい……って、なにそれ、おねえさん可愛い。
だめ、離してあげな~い♪
俺のこと、ちゃんと男としてみてくれるまで離しませーん。
……女の子としてみたことはないって、
そーじゃなくて~!」
SE : カオルが主人公のおでこに
自分のおでこをくっつける音
カオル:
「ちゃんと一人の恋愛対象として
みてほしいなってこと~!
彼氏候補にカオルくん、ど~?
結構お買い得ですよ、おねえさん♪」
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